日時計の丘

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海辺の共同墓地(スペイン・カタルニア)

フランスとスペインのカタルニア地方の国境にあり地中海に面した小さな町ポルボウの丘の上にある墓地。箪笥の引き出しのように何段にも重なっている共同墓地で、南の国ではよく見られる光景だ。埋葬されてから5年経って管理する人が居なくなったら、遺骨は片付けられ、墓は空になってしまう。
1940年ピレネー山脈を越えて亡命しようとしたが叶わず、ポルボウの町のホテルで自殺したワルター・ベンヤミンが、カトリックの神父の好意により、一緒に亡命に同行した子供連れの夫人の助けもあり、この墓に埋葬された。戦後になってから、ドイツとカタルニア政府の計らいで、一基の石の墓碑が建てられ、今はそこに眠っている。 墓地の東に、ユダヤ人の建築家ダニ・カラヴァンによって、ベンヤミンのためのモニュメントが作られている。覗くとと青い海が見え、階段がつづいている。そこから海に落ち込みそうな恐怖感を感ずるが、途中にガラスの仕切りがはめてあり、実際に落ることはない。
そのガラスの上に「無名の人を讃えるのは難しい。歴史を本当に担って来たのは彼らなのに」と刻まれている。遠い記憶が崇高にまで高められ、それらがこのように心の中で重なりあう場所を他に私は知らない。

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